〔資料1 柔道試合審判規定について〕


1 柔道試合と審判規定

 柔道の試合は,規定(ルール)に則り行われる。試合者や審判員は,試合審判規定を遵 守しなければならない。試合は,試合者が規定(ルール)を守ることによって成立する。審 判員は,規定(ルール)に則り公正な判断を下さなければならない。授業では,学習過程に 応じて独自の規定(ルール)を定めて試合を楽しむようにするとよい。そして公式の柔道試 合に段階的に近づけるようにする。

 講道館において最初に試合審判規定が制定されたのは1900(明治33)年で,13ヵ条であ った。その後,時々の社会的条件に応じて改正されてきた。つまり,試合審判規定は不変 ではなく改正を繰り返している。したがって,常に最新のルールブック(柔道試合審判規 定)を手元に置いておくことが大切である。

 現在,我が国における公式の柔道試合は,『講道館柔道試合審判規定』と『国際柔道連 盟試合審判規程』によって行われている。試合に臨む際には,大会要項に示されている規 定(ルール)の確認を行うことが必要である。

 ここでは,『講道館柔道試合審判規定(平成12年1月12日改正)』を取り上げて,その骨 子を説明する。


2 講道館柔道試合審判規定(抜粋)

 現行(平成12年1月12日改正)の講道館柔道試合審判規定は表に示したように6項目, 44ヵ条から成り立っている。

表1 講道館柔道試合審判規定について

項目 条文 内容
1 試合場 第1条 試合場について
2 服装 第2条~第4条 服装,危害防止について
3 試合 第5条~第15条 試合の開始と終了,試合の技,寝技への移行,試合時間,終了の合図など
4 審判 第16条~第34条 審判員の構成,主審の宣告,副審の異見,判定,審判員の動作など
5 禁止事項 第35条,第36条 禁止事項(1~33),反則の判定基準と処置
6 勝負の判定 第37条~第44条 「一本」の判定など


(1)試合場について

・原則として,14.55メートル(8間)四方とする。
・中央に9.1メートル(5間)四方の場内を 設け,これに畳50枚を敷き,その外側 の周囲2.73メートル(1間半)に畳を敷く。
・場内と場外の区別を明確にするため,そ の境界線の内側に幅約90センチメートル(3尺)の赤い畳を敷く。

                 [タイマー]     [スコアボード]

 ←                        14.55m(8間)                    →
+-----------------------------------------------------------+
|        ↑                                                 |↑
|        2.73m(1間半)                                       |
|  副審  ↓←         9.1m (5間)四方             →         |
|        +-----------------------------------------+        |
|        |       ? 0.9m(3尺)                       |        |
|        |      =============================     |        |
|←   → | ⇔   =                           =  ⇔  |←   → |
| 2.73m  | 0.9m =   白 ←3.64m(2間)→ 赤    = 0.9m | 2.73m  | 14.55m
|(1間半) |(3尺) =       主審             = (3尺)|(1間半) | (8間)
|        |      =                           =      |        |
|        |      =============================      |        |
|        |       ? 0.9m(3尺)                       |        |
|        +-----------------------------------------+        |
|        ↑                                          副審   |
|        2.73m(1間半)                                       |
|        ↓                                                 |↓
+-----------------------------------------------------------+

./img/Fig_007_Shiaijyou.png

図1 試合場(図参照


(2)服装について

 試合者は,規格に合った柔道衣を着用し,赤又は白の紐を各々その帯の上に締める。

(柔道衣の条件)

①上衣(うわぎ)

○ 身丈…帯を締めたとき臀部(でんぶ)を覆う程度あること。
○ 袖の長さ…手首の関節までとする(最短,手首の関節から5センチメートル短いもの)。
○ 袖の空き…袖全体にわたって袖と腕(包帯等を含む)との間が10センチメートルから15センチメートルあること。
○ 胸幅…胸郭の最下部で少なくとも20センチメートル以上重なっているものでなければならない。
【注】女子は,上衣の下に,半袖,丸首のシャツ(白色)を着用する。

②下穿(したばき)

○ 長さ…最長,足首の関節までとし,最短,足首の関節から5センチメートル短いもの。
○ 空き…全長にわたって脚(包帯等を含む)との間が10センチメートルから15センチメートルあること。

③帯

 上衣がはだけるのを防ぐために適度の締め方で腰部を2回りして結んで,そ の結び目から両端まで20センチメートル程度の余裕のある長さのもの。
 (注)女子の黒帯は,帯の両面の長軸中央に約5分の一幅の白線を入れる。

(危害防止)

 試合者は爪を短く切ること。また金属その他相手に危険を及ぼすようなものは, 一切身に付けてはならない。長髪の場合は,彼我の動作の妨げにならないようにこ れを束ねる。  ⇒ 試合者が服装と危険防止に違反しており,主審の指示に従わな いときは「失格」となる。

イラスト

袖の長さ:最短5cm
袖の空き:10?15cm
胸幅:20cm以上
裾(帯から下の上衣):20cm
下穿の空き:10?15cm
下穿の長さ:最短5cm
./img/Fig_007_Judogi_Kikaku.png

図2 柔道衣の規格 (図参照

[前面]

右横襟
右前襟

右横帯

左横襟
左前襟
左奥袖
左中袖
左袖口

前帯

左裾口

./img/Fig_007_Judogi_Namae.png [背面]

後ろ(奥)襟

右奥袖
右中袖
右袖口

右横帯
後ろ帯

右裾口

図3 柔道衣の各部の名称 (図参照


(3)試合について

 試合は,試合場内で行う。試合者の一方又は双方が,場外に出た場合に施された技は, 無効とする。また,試合は,立ち勝負から始め,一本勝負とする。

○ 場外に出た場合とは・・・
立ち姿勢 → 片足でも出たとき
捨て身技 → 半身以上
寝技 → 両試合者の全身が出た場合

表2 試合について

試合の開始  試合者は,試合場の中央で,約3.64メートル(2間)の距離を置いて向かい 合って立ち,互いに立礼を行い,左足から一歩前に進んでそれぞれ自然本体 に構え,審判員の「始め」の宣告により,試合を始める。礼は,座礼を行っ てもよい。
試合の終了  試合者は,審判員の「それまで」の宣告により,試合を終える。試合開始 時の位置に戻り,向かい合って自然本体に立ち,審判員の宣告と指示あるい は宣言と動作の後,右足から一歩さがって直立の姿勢になり,互いに立礼を 行う。礼は,座礼を行ってもよい。
試合時間  3分から20分の間で,あらかじめ定める。ただし,試合時間の延長を行う ことができる。
試合の技  投技(手技,腰技,足技,真捨身技,横捨身技),又は固技(抑込技,絞技, 関節技)で勝負を決する。
寝技への移行 寝技に移ることができる場合。
(1)投技が相当に効果があって,引き続き寝技に転じて攻める場合。
(2)投技を施そうとして倒れたとき,又は倒れかかるのを利用して,他方が攻 める場合。
(3)立ったまま,絞技又は関節技を施し,相当の効果があって,引き続き寝技 に転じて攻める場合。
(4)投技とは認めがたいが,巧みに相手を倒し,引き続き寝技に転じて攻める場合。
(5)前各号に相当しない場合でも,一方の倒れたとき,又は倒れかかるのを利 用して,他方が攻める場合。


(4)審判について

 審判員は,主審1名,副審2名をもって原則とする。場合によっては,主審,副審各 々1名,又は審判員1名でもよい。

 審判員の決定は絶対であって,これに抗議することは許されない。

○ 主審 (Referee) ・・・ 場内に在って,試合の進行並びに勝負の判定を司る。
○ 副審 (Judge) ・・・ 主審を補佐する。副審2名は,場外の勝負の見やすい相隔たった場所に各々位置する。
○ 記録係 (Scorer) ・・・ 主審の宣告を,その都度,得点表示板に表示し,同時に所定の試合記録用紙に記入する。
○ 時計係 (Time keeper) ・・・ 試合時間,「抑え込み」時間,停止時間を計るとともに,試合時間の終了, 及び「抑え込み」の終了時間を鈴等によって審判員に知らせる。

表3 主審の宣告について

宣告 内容 動作
「始め」及び「それまで」 始め → 試合を開始するとき
それまで → 終了したとき
※言葉のみ
「一本」 試合者の施した技を「一本」と認めたとき 片手を伸ばし,上方に高く上げる。
「技あり」 試合者の施した技を「技あり」と認めたとき 掌を下にして片手を伸ばし,側方肩の高さに上げる。
「有効」 試合者の施した技を「有効」と認めたとき 掌を下にして片手を伸ばし,側方斜め下45度に上げる。
「総合勝ち」 「技あり」と禁止事項の「警告」の場合 片手を伸ばし,上方に高く上げる。
「抑え込み」及び「解けた」 抑え込み → 抑え込みが完全にその体勢に入ったと認めたとき
解けた → 「抑え込み」と宣告された後で技をはずしたとき
抑え込み → 掌を下にして片手を伸ばし,抑え込んでいる者に向け,前下方に上げる。
解けた → 片手を伸ばし,体の前方で左右に2,3回早く振る。
「優勢勝ち」及び「引き分け」の宣言 判定表示を求めた場合,三者多数の表決に 従って,「優勢勝ち」又は「引き分け」を 決定し,宣告と指示あるいは宣言と動作をする。 勝者指示は,一歩前に出て,勝者側 の片手を伸ばし,掌を内側に向けながら斜め上方に上げ, その後一歩戻る。「引き分け」の場合は,片手(拇指を上)を伸ばし, 上方から前方に下ろして一時停止させる。
「待て」及び「始め」 待て → 試合を一時やめさせる場合
※第32条に(1)~(10)の場合が記されている。
始め → 再び始める場合
待て →  片手を伸ばし肩の高さまで水平に上 げ,指を上にして掌を時計係に向け る。

「不戦勝ち」等 「不戦」「反則」「棄権」「失格」「負傷」 その他により勝負を決した場合 ※勝者指示の動作

主審の宣告動作

①「一本 (Ippon)」
図参照

./img/Fig_007_Referee_Ippon.png
②「技あり (Waza-ari)」
図参照

./img/Fig_007_Referee_Waza-ari.png
③「有効 (Yuko)」
図参照

./img/Fig_007_Referee_Yuko.png
④「待て (Mate)」
図参照

./img/Fig_007_Referee_Mate.png

表4 副審の動作について

場内と認める場合 片手(拇指を上にする)を伸ばし,その試合場の境界線に沿わせて上方に 上げた後,ほぼ肩の高さに下ろして停止させる。
場外と認める場合 片手(拇指を上にする)を伸ばし,その試合場の境界線に沿わせ,ほぼ肩 の高さに上げ,水平に2,3回振る。
主審の宣告に対し異見がある場合 「一本」,「技あり」,「有効」の宣告に対し,自らの判定を所定の動作に よって示す。
主審の判定を適当と認めない場合 片手を伸ばして上方に高く上げ,左右に2,3回振る。
合議等の必要を認めた場合 その場に立ち上がり,片手を伸ばし肩の高さまで水平に上げ,指を上に して掌を主審に向ける。
判定 主審の動作に応じて赤・白の旗を持った両手を前方45度に上げ,主審の 「判定」の呼称に応じて,優秀な試合者側の旗を高く上げる。 「引き分け」の場合は,赤・白の旗をともに高く上げる。
※「判定」の動作は主審も同様。

(注) 動作は,通常,最低3秒間持続する。

副審の宣告動作

①場内と認める
図参照

./img/Fig_007_Judge_Jyounai.png
②場外と認める
図参照
肩の高さで振る。2,3回振る。
./img/./img/Fig_007_Judge_Jyougai.png
③主審の判定を適当と認めない
図参照
2,3回振る。
./img/Fig_007_Judge_No-Hantei.png
④判定
図参照

./img/Fig_007_Judge_Hantei.png


(5)禁止事項について

 技並びに動作等に関する禁止事項と反則の判定基準は次の通りである。

表5 反則の判定基準と禁止事項について

反則の判定基準 内容 禁止事項(第35条1~33)
指導 軽微な禁止事項を犯した場合 (1)~(14)
注意 少し重い禁止事項を犯した場合
「指導」+「指導」
「有効」と同等
(15)~(20)
警告 重い禁止事項を犯した場合
「注意」+「指導」又は「注意」
「技あり」と同等
「警告」又は「反則負け」
(21)~(32)
反則負け 極めて重い禁止事項を犯した場合
「警告」+禁止事項
「一本」と同等
(33)

【注】
① 前に受けた反則は自動的に消滅する。
② 同時に禁止事項を犯した場合は,両者それぞれの反則として処置する。

「指導」

(1) 積極的戦意に欠け,攻撃しないこと。(約30秒間)
【注】最初に与えられるものを「教育的指導」といい,反則とはならない。2回目は反則となる。

(2) 相手と取り組まず勝負をしようとしないと(約20秒間)。また組んでも切り離す動作を繰り返すこと。 (図参照)
./img/Fig_007_KinshiJikou_02.png

(3) 攻撃しているような印象を与えるが,明らかに相手を投げる意志のない動作を行うこと。(偽装的な攻撃) (図参照)
./img/Fig_007_KinshiJikou_03.png

<立ち勝負のとき>
(4) 極端な防御姿勢をとること。 (図参照)
./img/Fig_007_KinshiJikou_04.png

(5) 相手の同じ側の襟や袖を握り続けること。 (図参照)
./img/Fig_007_KinshiJikou_05.png

(6) 相手の帯や裾等を握り続けること。 (図参照)
./img/Fig_007_KinshiJikou_06.png

 以上の(4),(5),(6)は6秒以上

(7) 必要もなく相手の腕の下をくぐりぬけること。 (図参照)
./img/Fig_007_KinshiJikou_07.png

(8) 相手の袖口や裾口に指を入れて握ること。及び立ち勝負のとき, 相手の袖口を直接ねじって握ること。又は絞って握ること。 (図参照)
./img/Fig_007_KinshiJikou_08.png

(9) 立ったままで,試合者が互いの手の指を組み合わす姿勢を続けること。(6秒以上) (図参照)
./img/Fig_007_KinshiJikou_09.png

(10) 服装を乱すこと,及び審判員の許可を得ないで勝手に帯等を締め直すこと。

(11) 防御又は寝技に移るために,立ち姿勢又は寝姿勢から,立ち姿勢の相手の足(又は脚) を手でとること。ただし,巧みに相手を倒す場合を除く。

(12) 帯の端や上衣の裾を相手の腕に巻きつけること。

(13) 柔道衣をくわえたり,相手の顔面に直接手(又は腕)や足(又は脚)をかけること。又は 相手の髪をつかむこと。

(14) 無意味な発声をすること。

「注意」

(15) 絞技の中で,頸部以外を絞めること。頸部であっても帯の端又は上衣の裾を利用して 絞め,拳又は指で直接絞め,もしくは直接両脚で挟んで絞めること。 (図参照)
./img/Fig_007_KinshiJikou_15.png

(16) 固技のとき,相手の帯や襟に足(又は脚)をかけること。 (図参照)
./img/Fig_007_KinshiJikou_16.png

(17) 相手の指を逆にして引き離すこと。 (図参照)
./img/Fig_007_KinshiJikou_17.png

(18) 寝技に引き込むこと。

(19) 相手の握りを切るために,相手の手又は腕を膝や足(又は脚)で蹴り放すこと。

(20) 立ち勝負のとき,場外に出ること。ただし,相手の技又は動作により出る場合を除く。

「警告」又は「反則負け」

(21) 故意に,場外に出ることや相手を出すこと。

(22) 払腰等をかけられたとき,相手の支えている脚を内側から刈り又は払うこと。 (図参照)
./img/Fig_007_KinshiJikou_22.png

(23) 河津掛で投げること。

(24) 関節技の中で,肘関節以外の関節をとること。

(25) 頸の関節及び脊柱に故障を及ぼすような動作をすること。 (図参照)
./img/Fig_007_KinshiJikou_25.png

(26) 背を畳に着けている相手を引き上げ又は抱きかかえたとき,これを突き落すこと。 (図参照)
./img/Fig_007_KinshiJikou_26.png

(27) 試合者の一方が後ろから搦みついたとき,これを制しながら,故意に同体となって後方へ倒れること。 (図参照)
./img/Fig_007_KinshiJikou_27.png

(28) 立ち姿勢から腕挫腋固等を施す場合,一挙に体を捨ててとること。 (図参照)
./img/Fig_007_KinshiJikou_28.png

(29) 場外で技を施すこと。

(30) 審判員の制止又は指示に従わないこと。

(31) 相手の人格を無視するような言動をすること。

(32) 相手の体に危害を及ぼしたり,柔道精神に反するようなこと。

「反則負け」

(33) 内股,跳腰,払腰等の技をかけながら身体を前方に低く曲げ,頭から畳に突っ込むこと。 (図参照)
./img/Fig_007_KinshiJikou_33.png


(6)勝負の判定について

表6 勝負の判定基準について

一本 ・投技:
技をかけるか,又は相手の技をはずして,相当の勢い,あるいははずみで,だいたい仰向けに倒したとき。

・固技:
① 「参った」と発声するか,又は手か足で相手又は自分の体あるいは畳を2度以上打って合図したとき。
② 「抑え込み」と宣告があってから30秒間,抑えられた者がそれをはずすことができなかったとき。
③ 絞技と関節技では,技の効果が十分現れたとき。
※「技あり」を2度とったとき。
技あり ・投技:
完全に「一本」と認めがたいが,今少しで「一本」となるような技のあったとき。

・固技:
抑込技で,25秒以上経過したとき。
「技あり」又は「警告」がある場合,25秒。
有効 ・投技:
「技あり」と認めがたいが,今少しで「技あり」となるような技のあったとき。

・固技:
抑込技で,20秒以上経過したとき。
優勢勝ち ① 「技あり」又は「警告」があったとき。
② 「有効」又は「注意」があったとき。
③ 試合態度,技の効果と巧拙,及び反則の有無等を総合的に比較して僅少の差を認めたとき。
引き分け 試合時間内で勝負が決せず,且つその優劣の判定がつかないときは「引き分け」とする。
不戦勝ち 試合者の一方が,初めから出場しないときは,他方を「不戦勝ち。」
 → 「一本」と同等にみなす。
棄権勝ち 試合者の一方が棄権したときは,他方を「棄権勝ち。」
 → 「一本」と同等にみなす。
負傷勝ち 試合中に一方が「負傷負け」となったときは,他方を「負傷勝ち。」
 → 「一本」と同等にみなす。
反則勝ち 試合中に一方が「反則負け」となったときは,他方を「反則勝ち。」
 → 「一本」と同等にみなす。
失格勝ち 一方が「失格」となったときは,他方を「失格勝ち。」
 → 「一本」と同等にみなす。
負傷等 試合中に負傷,発病,又は事故のため試合を継続することができない場合,主審は, 副審と合議の上,「勝ち」,「負け」,又は「引き分け」を決定する。


(7)規定に定められていない事態が生じた場合は,原則として,審判員全員の合議によってこれを処置する。


3 講道館柔道試合審判規定・少年規定(抜粋)

 少年とは,中学生・小学生を指す。

 少年の柔道試合は,「講道館柔道試合審判規定」のうち,次の条項を加え,あるいは置 き換えたものによって行うものとする。(平成12年1月12日改正)

 ここでは,中学生の場合に焦点をあてて説明する。


(1)加えるもの・・・第35条(禁止事項)に,次の各号を加える。

(1) 立ち勝負のとき

ア 相手の後ろ襟,背部又は帯を握ること。
後ろ襟は,試合者の程度に応じて認められる。
技を施すため,瞬間的(1,2秒程度)に握るのは認められる。
 → 指導
イ 両膝を最初から畳について背負投を施すこと。
 → 注意以上

ウ いきなり相手の足(又は脚)をとること。
試合者の程度に応じて,片手で襟,又は袖を握って いる状態から,相手の足(又は脚)をとって技を施す ことは認められる。
 → 注意以上
(2) 関節技を用いること,及び絞技のうち,三角絞を用いること。
 → 注意以上
(3) 次の技を施すこと

・蟹挟(かにばさみ)。 → 反則負け

・無理な巻き込み技。
・相手の頸を抱えて施す大外刈,払腰など。
・双手刈。
 → 注意以上
(4) 固技などで,頸の関節及び脊椎に故障を及ぼすような動作をすること。
 → 指導以上


(2)置き換えるもの

① 第27条 (「抑え込み」及び「解けた」の宣告)

 抑えられている試合者が両膝とも畳に着いた形になったときは 「解けた」「待て」と宣告して立たせる。

② 第37条 (「一本」の判定)

 固技に関しては,「絞技と関節技では,技の効果が十分現れたとき」を適用 する。また,絞技においては,審判員は見込みによって「一本」の判定を下す。


(3)教育的配慮から特に留意する禁止事項

第35条の(2),(4),(9),(10),(14),(32)。


INDEX | |
Author : 文部科学省 (MEXT http://www.mext.go.jp/).
Editor : 佐藤 智彦 (Sato tomohiko).

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