第7章 4 柔道試合における礼法(抜粋)


4 柔道試合における礼法(抜粋)

「柔道試合における礼法」については,次のように定められている。
(平成7年10月27日改正)

(1) 趣 旨

 礼は,人と交わることにあたり,まずその人格を尊重し,これに敬意を表することに 発し,人と人の交際をととのえ,社会秩序を保つ道であり,礼法はこの精神をあらわす 作法である。精力善用・自他共栄の道を学ぶ柔道人は,内に礼の精神を深め,外に礼法 を正しく守ることが肝要である。

(2) 礼の種類(敬礼と拝礼)

ア 敬 礼 (けいれい)
(ア) 立礼 (りつれい,りゅうれい)

 礼をする方向に正対して直立(気をつけ)の姿勢をとり,次いで上体を 静かに曲げ(約30度),両手の指先が膝頭の上・握り拳約一握りくらい のところまで体に沿わせて滑り下ろし,敬意を表する。

 この動作ののち,おもむろに上体を起こし,元の姿勢にかえる。こ の間の時間は通常呼吸で約一呼吸(約4秒)である。

○ 直立姿勢の要点 ⇒

 両踵(かかと)をつけ,足先を約60度に開き,膝を軽く伸ばす。 頭を正しく保ち,口を閉じ,眼は正面の眼の高さを直視する。 両腕を自然に垂れ,指は軽くそろえて伸ばし体側に着ける。

(イ) 座礼 (ざれい)

1) 正座のしかた

 直立の姿勢から,まず左足を約一足長半ひいて,体を大体垂直に保った まま,左膝を左足先があった位置に下ろす(爪立てておく)。  次いで,右足を同様にひいて爪立てたまま右膝を下ろす(この場合,両膝 の間隔は大体握り拳二握りとする)。  次いで,両膝の爪先を伸ばし,両足の親指と親指とを重ねて臀部を下ろ 体をまっすぐに保って坐る。両手は,両大腿の付け根に引きつけて指先を やや内側に向けておく。

2) 座礼

 正座の姿勢から,両肘を開くことなく両手を両膝の前で握り拳二握りの ところに,人差し指と人差し指とが約6センチメートルの間隔で自然に向 き合うように起き,前額が両手の上約30センチメートルの距離に至る程度 に上体を静かに曲げて敬意を表する。

 この動作ののち,静かに上体を起こし,もとに正座の姿勢に戻る。

3) 正座からの立ちかた

 正座の姿勢から,まず上体を起こして両足先を爪立て,次いで坐るとき と反対に,右膝を立て右足を右膝頭の位置に進め,次いで右足に体重を移 して立ち上がり,左足を右足にそろえて直立の姿勢になる。

⇒ 座り方,立ち上がり方の手順を「左坐右起(さざうき)」と覚えるとよい。

【編集者 注意書き】
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 「左坐右起(さざうき)」とは、「左足から座り,右足から立ちあがる」行為である。
また,日本の伝統的な礼法では,「進左 退右 起右 座左 (しんさ たいゆう きゆう ざさ)」で行動することが多い。
これは,神道において神様の正面(正中と言います)での作法からくる。神様を基準に左が上位,右が下位である。
つまり,「前に進む時は 左足から動き,退く(下がる)時は 右足から動く。同じく 立ち上がる時は 左足,座る時は 右足から動く。」のである。
 時代の転換期で礼法が混乱したため,文部省は,1941(昭和16年)に日本国民が心得るべき作法として「国民礼法要項」(正文館)を発表した。
 日本における日常生活の礼法は,次のリンクなどを参照すると良いだろう。

・国民礼法講義 文部省令適用 _PORTA_ 近代デジタルライブラリー
http://porta.ndl.go.jp/Result/R000000008/I000003732
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イ 拝礼 (はいれい)

 方法は敬礼と同様であるが,体の前に曲げる度が深く,立礼の場合は体を前に 約45度に曲げ,両手は膝頭まで滑り下ろす。

 座礼の場合は,両手の人差し指と人差し指と,拇指と拇指とが接するようにし, 前額を両手の甲に接するまで体を曲げ,両肘をつけ敬意を表する。

 ● 礼法


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Author : 文部科学省 (MEXT http://www.mext.go.jp/).
Editor : 佐藤 智彦 (Sato tomohiko).

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