第5章 練習法と試合


# 表. 技能程度に応じた試合例(表未対応版)





ごく簡易な試合

1 できばえを試し合う | TOP

◆ねらい
学習した投げ技や抑え技を使って,技のできばえを試し合うことができる 。

◆留意点
・初めは正しい技を身に付ける観点から,技の攻防ではなく,できばえを競い合う。
・教師が技のできばえを判定する中で,技を試し合うことに慣れる。


◆具体例

例1
・交互に投げ合う約束練 習で教員が審判になり,進退動作,体さばき,
受け身などの基本動作や技のできばえを判定する。

例2
・交互に抑え合う約束練習を中心に行う。
・教員が審判になり,抑え方や逃れ方のできばえを判定する。




ごく簡易な試合

2 自由練習を試合形式で行う | TOP

◆ねらい
学習した技を使って,自由練習の延長として,ごく簡易な試合をすることができる。

◆留意点
・特に試合場を設けず,約束練習や自由練習の延長として試合を行う。
・審判は慣れるまでは教員や経験者が行い,次第に生徒相互が行う。
・同じ体格の者同士で行う。
・反則は特にとらないが,危険な行為などは教師が試合を止めて注意を促す。

◆具体例

例1
・3人1組で自由練習を行い, 一人が審判になり技の効果を判定する。
・抑え技:10 秒抑えたら「1 ポイント」。ポイント数で勝敗を決する。
・投げ技:投げたら「1ポイ ント」。ポイント数で勝敗を決する。

例2
・自由練習の発展としてごく簡易な試合を紅白戦又は3人1組で行う。教員又は経験者が技の効果を判定する。
・試合時間:1分~2分程度で何本とっても時間内は続ける。
・勝敗は一本の数で競う。正しく投げたり,抑えたら「一本」とする。




簡易な試合

試合Ⅰ 初歩の段階 | TOP

◆ねらい
学習した技を使って,試合の中で,技を連絡させるなど,相手の動きに応じた攻め方を工夫することができる。

◆留意点
・試合は,自分の課題を見つけ,それを工夫する機会であることを意識する。
・審判は生徒相互が行う。
・試合は体格や習熟度を考慮した対戦相手で行う。
・試合のルールや禁止事項を明確にし,危険な行為があった場合は試合を中断して注意を徹底する。

◆具体例

例1
・試合形式:紅白戦,教員又 は経験者が審判する。
・試合時間:1~2分 一本勝負,二本勝負,三本勝負などの工夫をする。
・判定基準:投げてから抑え ることを一本勝ちの条件と する。

例2
・試合形式:団体戦を中心に行う。
・試合時間:生徒の実態等を判断して設定する。1分30 秒~2分程度
・判定基準:「技あり」以上, 「技あり」,「一本」の2段 階の判定に慣れる。
・抑え込み時間:20秒で「一 本」,15 秒で「技あり」とする。




簡易な試合
試合Ⅱ 少し進んだ段階 | TOP

◆ねらい
自分に適した技を使って試合の中で相手の動きに応じた攻防を展開することができる。      

◆留意点
・どんな時に技がよくかかるかなど,技の攻防に課題をもつ。    
・習熟度の高い者は体格の異なる者との対戦も工夫する。      
・試合に慣れたら試合形式に工夫をこらし興味関心を高める。
・状況に応じて反則を取り入れ,試合展開が積極的になるようにする。

◆具体例
・試合形式:体格や習熟度に配慮しながら,個人戦や団体戦などの試合形式を工夫する。  
・試合時間:生徒の実態を考慮して設定する。2分程度を目安とする。
・判定基準:「有効」以上。「有効」,「 技あり」,「一本」の3段階の判定に慣れる。抑え込み時間,25秒で「一本」,20秒で「技あり」,15秒で「有効」とする。
・反則:積極的に技をかけない場合に注意(有効と同じ)の反則を取る。ただし反則の累積はしない。        



簡易な試合
試合Ⅲ 進んだ段階 | TOP

◆ねらい
自分の能力に応じて得意技にみがきをかけ,相手の動きに応じた攻防を展開して,
試合を楽しむことができる。   

◆留意点
・どんな時に得意技がよくかかるかなど,得意技についての課題をもつ。
・体格の異なる者との対戦も工夫する。
・試合形式に工夫を加え興味 関心を高める。       
・反則を積極的に取り,試合 展開が積極的になるようにする。          

◆具体例

・試合形式:ねらいに応じて個人戦や団体戦など試合形式を選ぶ。また リーグ戦,トーナメント戦など,試合の仕方に工夫を加える。  
・試合時間:2分~3分程度を目安とする。
・判定基準: 有効」以上。抑え込み時間 25秒で「一本」,20秒で「技あり」,15秒で「有効」とする。
・反則:極端な防御姿勢や積極的に技をかけない場合に指導(「効果」と同じ)反則を取る。反則を累積する。(指導→注意→警告→反則負け)




簡易な試合
試合Ⅳ 正規の試合に準じた段階 | TOP

◆ねらい
生涯にわたって柔道を楽しむ ,資質や能力を養い,試合者として,また,観戦者としても 試合を楽しむことができる。

◆留意点
・試合者としての課題だけでなく,試合を見て楽しむ,観戦者としての課題をもつ。
・できる限り正規のルールに準じて行うが,事故防止の観点から,生徒の実態を考慮して使用してもよい技やルールに制限を加える。

◆具体例
・試合形式:ねらいに応じて個人戦や団体戦など試合形式を選ぶ。また,勝ち抜き試合,代表戦,延長戦など興味・関心を高める様々な工夫をする。
・試合時間:2分~3分程度を目安とする。
・判定基準:「効果」又は「有効」以上。抑え込み時間25秒で「一本」,20秒で「技あ り」,15秒で「有効」,10秒で「効果」とする。
・反則:生徒の実態に応じて「講道館柔道試合審判規定」又は,「国際柔道連盟試合審判規定」から適宜適用する。


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INDEX |
Author : 文部科学省 (MEXT http://www.mext.go.jp/).
Editor : 佐藤 智彦 (Sato tomohiko).

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