第4章 技能指導の要点


2) 両膝着きの姿勢から

 両膝を着いた姿勢から前方へ倒れ,両前腕を畳でたたく直前に両膝を畳から離 し身体を伸ばして,腹部を畳で打たないように留意しながら前受け身を行う。

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 前受身(両膝着きの姿勢から)(図参照

【注】両腕は,はじめ体側に垂らしておき,前方に倒れようとする際に, 前方に振り上げ,顔面にもってくるようにする。中腰,立位の姿勢か らの前受け身でも同様に行う。

エ 前回り受け身

(ア)方法

1) 片膝着きの姿勢から

 左(右)膝を着き,右(左)脚を立てた姿勢から両手を畳に着き,右(左)肘 を前方に軽く曲げて右(左)斜め前方へ体重をかけ,腰をあげるようにしながら 右(左)前方へ身体を回転させ,左背中側面が着く瞬間に庄(右)手と両脚で畳 をたたきながら受け身をする。両脚は横受け身のときと同じような形になる。

・ ← 左手を右足・左足を底辺とした三角形の頂点に着く。
・ ← 両手を内側に向ける。

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 前回り受け身(片膝着きの姿勢から)(図参照

【注】両手を着く位置(左膝,右足,左手で三角形をつくる)

【注】身体が畳に触れる部位と順序

①右(左)手小指側→②右(左)前腕外側→③右(左)肘外側→ ④右(左)肩→⑤背部(対角線を通過)→⑥左(右)腰部・臀部・左(右)腕・両脚。

【注】頭部は,畳に触れない。

〇四つん這いからの練習方法

 四つん這いの相手の左横に同じ方向を向いて位置し,腹部の下から両手を差 し入れ,相手の右手を取り(柔道衣を握ってもよい),自分の方に引きながら, 相手を前方に回転させ,前回り受け身を行わせる。

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 前回り受身(四つん這いから)(図参照

2) 右白然体の姿勢から(左白然体からも行う。)

 右白然体から少し足幅を広くとり,両手を畳に着く。身体を右前方に出すよう に体重を乗せ,腰をあげるようにして,右手小指外側,右手首外側,右前腕外側, 右肘外側,右肩,背部,左臀部,両脚の順序で次第に畳に着くように回転させて 受け身をする。

← 一歩右足を前に踏み出す。

← 左手を右足・左足を底辺とした三角形の頂点に着く。
  ・右手を左手の内側に着く。
  ・指を内側に向ける。
  ・右肘,右肩を前に出す。

← 右手を支点にして両脚を思いきり真上にあげる。

← 両脚,左手同時に畳をたたく。 (図参照

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○受け身をした腕で畳を押して起きあがる練習方法

・横受け身の伏臥(あおむけ)の姿勢から起きあがる練習を行う。 (図参照

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【注】両足,両手を上げ,横受け身を行うときに,両足を振り下ろす速度を はやめ,畳をたたくときに遠心力で上体が起きあがるのを利用し,腕 全体で畳を強く押して起きあがる。

3) 移動しながら

 前方に数歩移動してから,大きく跳んだり,小さく動作をしたり,障害物を飛 びこえたりしながら,また,投げ技の基礎と関連させながら,いろいろな場面の 受け身を経験しながら,練習する。


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Author : 文部科学省 (MEXT http://www.mext.go.jp/).
Editor : 佐藤 智彦 (Sato tomohiko).

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